2012/10/20

●●ブラジャー開発用の製作冶具を作る!

と、まあ、前回までの内容は、
先週10/12までの奮闘記でした。

時間軸が1週間ほどずれていますが、それだけ、
いろいろなことを同時並行してやってますので、
ブログを書くのが追い付かないんですよ~。

さて、今回からは、やっと先週末の土、日の作業内容です。
(それでも、明日になればもう、1週間過ぎてますが、、、)

先週の土、日2日間は、ホットスタッフのボディを
ABS樹脂で切削造型するために、
3DCGのモデルデータを作成しておりました。
ほとんど、死にました~、、、ToT

CAM切削トラブルの検証待ちの間に、
スパンキースカートの開発を始めましたが
実は、もうひとつの作業をマルチで進行させてたんです。

何をしてたかというと、ホットスタッフのオリジナルボディの形状を
3Dスキャナで読み取らせていたのです。

と言っても、初めの読み取り設定さえ決めてしまえば、
あとはCAM切削機と同じで、機械が勝手にやってくれます。
正確にホットスタッフのボディ形状をゲットしようと思うと、
さすがに、手でイチから作り上げるのは不可能です。
特に、レザーウェアを作るわけですから、
正確なサイズのトルソーが必要になります。

ところが、ここでひとつ問題が、、、
ご存知のように、ホットスタッフのボディの
最大のウリは、例のプニュプニュバストですね。
これは、遊ぶときには実にサイコーなわけですが、
いざ、衣装を作ろうと思うと、長所が裏目に出て実に困るわけです。

フニャフニャのゴムなので、形状が安定しないからです。
つまり、ブラジャーを作ろうと思うと
クールガールなどの樹脂系ボディのように
形状が固形物でないと、デザインあわせがとても大変なんです。

そのため、以前より、お客様から
ホルターネック方式のブラばかりでつまらん。
一般的な肩ヒモとバックストラップ方式の
典型的なブラジャーを作って欲しいとのご要望をいただいてましたが
ボディの専用冶具が無いとダメなんだよな~と
ペンディング状態になってました。

そこで、金曜日に切削トラブルも片付いたので、
清水の舞台から飛び降りる決心をして
先週の土日で突貫でモデリング開始したわけです。
(経験上、相当な苦労と忍耐、ストレス作業になるだろな~と、
わかってたからです、、、誰かやってョ、、、トホホ)
結局、土曜日の完成データは、6方向から
スキャンした生データを基に合成しましたが
きれいに一つに整合できず、夜中にギブアップ、
放棄しました。こういうときは、トットと寝て気持ちを切り替えるしか
ありません、、、ToT

翌日、念のために、360度の回転方式でも
スキャンした生データがあったので
これなら、もともと1つのデータですから、
問題箇所だけを合成するだけで済むので
整合しやすいのでは、、と方針を変更。
結局、日曜日、丸一日かけて完成したモデルを
採用しました。

全力で作業しましたが、やはり、スキャンした生データに
問題が多く、オリジナルのボディと完璧にコンパチの表面には
なりませんでした。

というのも、現在、3Dスキャナには大別すると
レーザー照射式のものと、針で物体表面を一点ずつなぞっていく方式の
2つがあります。
残念ながら、今回のホットスタッフのように
シリコンボディでは、針方式のスキャナでは、
ゴムに針がめり込んでまったく、使い物になりませんでした。

したがって、レーザー方式のスキャナーで読み取ったのですが
どうしても、光線の反射による誤差が大きく、データが凸凹して荒れます。
正確にキレイな形状データをゲットするには、針方式がダントツです。

このため、デルタ、バストの谷間やアンダーバストなど
レーザーが当たりにくい、窪んだところは、
シワがはいったりして整形不良みたいになりました。
なお、腕があると、バストサイドや、わき腹など
レーザーが照射できない部分が広がり
ゴミデータが非常に増えるため、ロクなことがないので
あらかじめ両腕を切り離して、あとで、腕だけをスキャンします。



全身を正面からレーザースキャンした生データ。密集した点の塊です。0.2mmのピッチで読取。

レーザー光線が当たらない側面はご覧の通りデータが存在しないので、
流れ星のようにゴミデータが横に広がります。
あるいは、バスト横のように、データが欠けてしまいます。

まあ、シリコン型用のモデルを作るわけではないので妥協しました。
あくまで、ブラジャーを作るためのハードボディであれば良いので
細かい点はしかたないですね。

ちなみに3dレーザー関係もCAM切削と同様
ローランド社のものを使っています。
これらは、3DCGのモデルデータを開発していたときですから、
もう、7,8年くらい前に導入したものです。


レーザーは針方式よりも読み取り時間が早いので
ホットスタッフの全身ですと、0.2mm刻みで

6方向で10時間くらいでしたかね。
360度全周方式も合わせて、ついでなので
手、足バラでも取っとけてなぐあいで、3日くらい先週は稼動させました。

ただ、3Dスキャン作業は簡単ですが、あとの合成と修正は
人間が専用ソフトでチクチク作業しますので、めちゃくちゃ時間がかかります。
私のように3DCGを長年やったものでも、失敗するし結局丸2日も
費やしたのです、、、

当初、ご覧のように6方向のスキャンデータ(色で区分がわかる)を合成、
その後、修正しましたが結局、気に入らず失敗!やり直すことに。

ブラジャーのパターン作成用の冶具なので不要な箇所をカット。
これは、翌日、360度1ショットのスキャンデータで作成したもの。
まだ、生データのままなので表面が凸凹しています。

CAMで切削するために、表面をできるだけ滑らかにします。
ただし、やりすぎると形状フォルムが失われるので(乳首など)
バランスを考える必要があります。

上記のように、3Dスキャンの生データを合成、ゴミデータを修正したら
やっと、ホットスタッフボディのデジタルデータが完成です。
ここまでの作業は、3Dスキャン生データ専用の修正加工ソフトが無いと不可能です。
非常に専門的な作業内容ですから、この作業を専門に商売をしている会社も多いです。
多くの方向からスキャンした生データを1つに合成して、
不要なゴミデータや穴埋め修正をし、きれいな一つの物体形状にするわけですが
とても忍耐の要る仕事ですから、私はやりたくな~いですね。^o^
セクシーなレザーウェアを作っている方が楽しぃーッ!

さて、残念ながら、このままではCAMで切削できないので
次に、ABS樹脂で加工するための保持パーツ(プラモで言うランナーですね)を
3DCGソフトで追加作成します。

3DCGソフトもいろいろあり、アニメや動画を作る専用のものもあれば
今回のように、工業系パーツ専用のものもありさまざまです。

今回のCAM切削に適したデータを作成できる3DCGソフトでは
業界標準となっているライノセラスを使用します。
このソフトは、宝石やジュエリー業界でもスタンダードです。
今や、3DCGでデザインし、原型をワックス(蝋)で切削。
それを元にして作った型に、シルバーやゴールドを流して鋳るわけですね。

さて、このソフトでは、ランナーをつける場合
CAM切削の材料の形状などを把握した上で
中心軸を設計します。今回は、6cmの円柱ABS樹脂です。

これをいいかげんにすると、先日のCAMトラブルのように
切削ツールの刃がABS樹脂に突き刺さり、異常停止します!

材料として直径6cmの円柱を予定しているので、
ど真ん中に来るようにサポート保持パーツを配置します。
これが、切削作業が終わって出来上がる最終形状となります。

さて、土日丸2日かけて、できあがった上記のデータを
いよいよ、3Dの仮想空間から、
実際の現実空間で触れる物体に削りますよ~。

さて、どうなるかな?